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もちろんクライアントのご希望、ご状況によりますが、造りこむことは
かならずしも顧客利益につながりません。当然イニシャルコストはかさみますし、
造りこむことで空間の可塑性を失ってしまっては、将来ライフスタイルが
変わったとき、対応するために大きなコストがかかります。ある部分は、
あえて完成させないで、 丈夫なスケルトン(骨格・構造)として
お施主様に引き渡し、住まいながら、楽しみながら、ご家族で完成させてゆく。
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イニシャルコストも、将来のリフォームコストも抑えられ、生涯、合理的、効率的、
創造的に住まうことができる、”ライフ・スケルトン” となります。
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■コストについて付記。SUMiZ は、しっかりコストをかけた住まいも得意です f(^ー^;
ただどんなケースでも、費やすに値するコストマネージメント、コストデザインを心がけています。

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たとえば、玄関ホールを、玄関ホールとして
作ってしまうと、出入りにしか使えないが、
土間にすると、作業にも、くつろぎにも使える

■クライアントの S氏は以前、インテリア関係の仕事をされていて、奥様の父上はSUMiZ建築家・諸我尚朗の大学時代の建築学恩師。その師が原案を描き、専門家3人でプランを洗練させ、細部を詰めていった。
一見、かなり大胆なプランと感じられるかも知れないが、それは建て売り的平凡さに毒された感性。本プランこそ、お施主様のご希望を素直に実現した、合理的なそれといえる。先述のとおり、クライアントも専門家なので、早くからビジョンを共有しえたという利点もあった。
この住まいは、ある意味未完成である。お施主様が、住まいながら、革靴を足に馴染ませるように、完成させてゆく。

1F は20㎡の広いガレージと土間、畳敷きの1室。
本格的なクルマいじりが趣味のご主人の夢だったガレージはラーチ(構造用合板)の現し、つまり仕上げなし。あとはコンプレッサーなど大道具も収納できる大棚だけ。
水栓とシンクがあり、コンクリート床なので、ガレージ内で洗車したり、床の汚れを流したりできる。

このようにざっくりと大空間を確保しておくと多用途に使える。クルマを出して卓球台を入れればホビールームになるし、子供が思春期になったら、内装だけの比較的軽いリフォームで個室にできる。限りある空間をデッドスペースにせず、イニシャルコストだけではなく、20年30年間にわたる総コストも抑える。
このガレージはドアを介し、同じコンクリート床の土間につながる。
玄関ホールを玄関ホールとして作ってしまうと、出入りの動線としてしか機能しないが、土間にすると多用途に使える。漬け物の壺も置けるし、ガーデニングを趣味とする奥様の作業スペースにもなり、縁台に腰掛けて仕上がった庭を眺めることもできる。

S氏邸、幹線道路から丘の小径に入り、少し上った傾斜地に立地している。南側、邸宅正面は小径を隔ててすぐの位置に自然の広葉樹。
夏は繁ってシェードになり、冬は落葉して陽ざしを入れ、傾斜地ゆえの眺望を開く。
奥様は未仕上げの庭でのガーデニングを楽しみにしており、正面広葉樹と、どのようにシンクロさせるか、あれこれイメージしている。
土間部分には太鼓張りの障子(裏表両面に障子紙)。シェードになり、断熱性も高い。畳敷きの部屋、素焼きの水洗ボウルともあいまって和のイメージだが、単に和風ではない。升目が大きい障子、正方形の半帖畳などにより、和でも洋でも折衷でも和モダンでもなく "SUMiZ"
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▲20㎡のガレージ。ご主人の夢だったプライベートファクトリー
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▲手前が土間。縁台は居室でも廊下でもなく、良い意味で曖昧
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▲2F LDK。キッチン上に6畳のロフト。左はインナーバルコニー
幅360cmの手作りキッチンも "スケルトン"
収納を仕上げるかはご家族の仕事(楽しみ)

■2F は、吹き抜け、20畳LDK とウォークインクローゼットつきの一室、インナーバルコニー(屋根付き壁無し・半屋内半屋外的バルコニー)。
LDK で特徴的なのは幅360cm のカスタムキッチンだ。既製のシステムキッチンだけが選択肢ではない。SUMiZ ではしばしば建築家が図面を引き、サイズ、クッカーや水栓の選択、素材、質感、その住まいにとって妥協のないキッチンを製作する。
今回の場合、収納棚や扉のないスケルトンで、現場で大工さんが手作り、表面仕上げなど詳細な図面を引き、専門の工場で一枚板をプレスしたステンレストップを載せる。
建築家も製作を現場でチェックし、色合いや配管の仕舞いなどディティールまで微調整してゆく。キッチンの収納をどう仕上げるかはお施主様の仕事(楽しみ)
棚を自作するも良し、センスのいいワゴンを探すも良し。

■壁は、左官テイストご希望で珪藻土。しかしイニシャルコストを抑えるため、珪藻の下地塗りのみで、仕上げはしていない。それでもいい風合い。
天井もローコストなラーチ(構造用合板)の現し。いわば丈夫なベニヤ板なので、嫌う人は受け付けないが、装飾性が全くないラーチを好む方もいる。経年で赤くなってきたら、珪藻下地の塗り壁ともより合うだろう。


スチールのロフトタラップも建築家デザイン
壁から少し離しているのは、ご主人が、
天井までの書架を造りつけるため

■キッチンの上に位置する6畳のロフトに登るタラップも、岸壁から船へと渡るそれをイメージ、建築家が設計。当初ホワイト塗装を考えていたが、クライアントの希望でダークに。その場合、目に入る面積が広いと重々しくなるので、桁や手すりを細身にデザインし直した。フレームはアイアン、踏み板はラーチをカットし塗装。

タラップと壁面が若干離れているのは、壁面のこの部分一面に、ロフトより高いに本棚をご主人自ら造りつけるご予定のため。タラップは、ロフトかつ書架へのアプローチともなるわけだ。

■S氏邸にはふたつのバルコニーがある。ロフトからキャットウォークでアクセスするルーフバルコニーと、LDK に接するインナーバルコニーだ。空の下の露天風呂も良いが、袖壁と軒で守られた露天風呂も良い。インナーバルコニーにも同様の安心感、心地よさがある。
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▲360cmワイズの天板は、1枚のステンレスをプレス加工
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▲ダークカラーなので重くならないよう、手すりやフレームを細く
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▲ほか多数の写真は、上ビルボードのスライドショーをご参照
SPEC= ■建蔽率/容積率:----- ■敷地面積:----㎡ ■構造:木造在来軸組工法2階建て ■建築面積:----㎡ ■延床面積:----㎡

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