きびしい建築条件と理想の立地環境、
そこに、最大の顧客利益をもたらす
「解」とは?
■「この敷地に建てたいのですが」、
どんな設計を提案されますか? と、クライアントのI氏に問われました。
磯子の丘の頂上近く、その斜面を造成した開発宅地。眼下に、緑が多く残る谷あいの住宅地、その向こうに根岸、東京湾。緑と海がパノラミックに広がります。
クライアントの最優先事項が、「この眺望を最大限に活かした、カーテン不要の、開放的な家」でした。
そう簡単にクリアできる目標ではありません。
第一種低層住専で、建ぺい率40%、容積率80%と建築条件がきびしく、この127㎡の敷地に、工夫のない設計をしてしまうと、この環境の魅力を、増幅できないばかりか、削いでしまうからです。
傾斜地ゆえに、隣地に家が建っても、2階からの眺望は遮られないので、そこに"Family Dining"とリビング、東面から南面に連続するパノラマウインドウを設けました。
IHクッカーと床下排気換気扇がビルドインされた、広々としたダイニングカウンター、およびキッチントップには、天然の御影石を奢りました。 |
■クライアントのご希望通り、「眺望を活かし、カーテン無しで、開放的に暮らせる住まい」とした■2台の駐車スペースともなるアプローチ。梁にグレーチングを敷き、デッキに
質感美観はもとより、堅牢、傷つきにくく、衛生的。耐水性も高いので、パンを捏ねる、そばを打つ、など作業台としても優れ、奥様はそこで、ご家族に背を向けず、リビングに向かって、パノラマウインドウの向こうに広がる、空、緑、海を眺めながら調理できます。
北面にはリビングと連続するデッキを設けました。とはいえグレーチング床で |
■2F、"Family Dining"に続くリビングとパノラマウインドウ。吹き抜けにルーフデッキへのアプローチ■ダイニングカウンター天板は25ミリ厚の天然御影石。 IH クッカービルドイン
──格子状で取り外しできるので──床面積として計算されません。
このデッキ、アマゾンジャラのルーバーでプライバシーを確保し、さらに、丈夫なファブリック製の、収納式の天幕を設けたので、雨の日でも、ここで本を読んだり長椅子で午睡したり、"Airy"な時間をもてます。
クルマにたとえれば、ソフトトップ・コンバーチブルなリビングですね。 |
■吹き抜けの一部にロフトを設け多層化。奥様が裁縫室としてご使用予定とか。写真左はルーフデッキアプローチ■磯子の丘、緑が多く残る谷あいの住宅街のむこうに東京湾がひろがる
さらに、このロケーションなら、空にカラダを投げ出せるといいますか、開放的なルーフデッキは不可欠と考えました。
吹き抜けにロフトを設け、(奥様は裁縫室にしたいとのこと)そこから、ルーフデッキに続く、グレーチングの通路を渡しました。
つまり、2階建てながら、フロア構成を実用上4層とし、家の機能と快適さを高めました。 |