spacer_10pix.gif
spacer_06pix.gifSUMiZ 篠原東 LIFE AMUSE ……………… モンダイを、ミリョクに転じた設計例 (3)

16px.png
obi_smile.png
PROBLEM ? ………………

敷地内にガレージが欲しいけれど、
(敷地が) 古い石積みで道路面より高くて……



NO PROBLEM ! ………………

住まいの下をトンネルのように掘削。
ガレージでもあるエントランスとし、
防犯性を高め、動線をドラマティックに

DSC_9017.JPG■車庫でもあるエントランスの間口は3m。無垢木製の扉は7/3で観音に開く
住まいはきわめて日常性が
高いものだがら、逆説ではなく、
非・日常性を実現したい

■住まいは」日用品」の最たるものですから、安全で、機能的で、ランニングコストが低くあるべきです。けれどそれだけでいいのでしょうか。日々をご家族と過ごす住まいだからこそ、そこに非日常性や娯楽性があれば、それに勝るものはなく、なにより経済的(笑)です。
この O氏邸、眺めの良い南向き丘陵に立地。ひな壇上に造成され、古い石積みの上の宅盤(敷地レベル)は、道路よりほぼ一階高ぶん高くなっています。
こういう場合、一般には法面を切るなり掘るなりして駐車場をつくり、道路面から階段を設けて玄関にアプローチします。でもそれでは平凡で退屈な住まいになってしまう。前述、非日常性ほかを実現するため、敷地を間口3m幅で切り取り、構造建築士の協力を得、
π(パイ)字型の 頑丈な RCラーメンを打設。それを基礎とし住宅を載せました。
つまり、下駄履き……というと響きが悪いですね……RC のトンネル上に住宅が位置しています。トンネルは駐車場ではなく、駐車もできる、アプローチを兼ねた汎用スペースで、カスタムメイドの、7:3で観音に開く、無垢木材の頑丈な扉を設けています。人は、オートロックの「3」の扉で、クルマは「7」のそれを開けて出入りします。
扉を開けると、2車、縦列に駐めることができます。道路が狭く、付近にコインパーキングもないので、友人が来たときなどのために。
トンネルは北側に抜け、コンクリートの擁壁があり、その上に数本の樹が植栽されています。樹はふつうレベルで観ますが、この場合モグラのように半地下から見上げる「絵」になり新鮮です。そこに始まる外階段が住まいのエントランスに続きます。

DSC_9250.JPG

DSC_9474.JPG

DSC_8889.JPG

DSC_9192.JPG

■木造ながら剛床構造ゆえルーフ(ほぼ)全面バルコニー。丘陵立地なので、空がより広い
■SUMiZ の例によって、キッチンもダイニングテーブルも、既製品ではなく専用設計
■DK よりリビング。開放階段から、奧の吹き抜けからも自然光が降り、明るく開放的
■1F ベッドルーム。正面の可動クローゼットのレイアウトにより、2個室にもできる
クルマを出せばアトリエに、卓球台を入れれば卓球場に。
スペースの汎用性が、小さな住まいを広くする

■前述のように、一般的な方法で駐車場を作ると、そのスペースはクルマを駐めるためにしか使えません。この O氏邸の場合、2車駐められ、クルマを出せば、たとえばアトリエになり、卓球台を入れれば卓球場になります。
もっとも天井高が200cm強なので、オトナが飛び跳ねると頭を打ちますが (笑)。
スペースが限られる都市型住宅の場合、スペースに汎用性をもたせることが大切です。
別のメリットとして、このエントランスは、防犯性も高いはずです。空き巣は何より、何が起こるか予測できない、経験がない造りの家を嫌うからです。
ややおおきな造成工事を必要としたぶんコストアップしましたが、投資価値は充分と考え、このプランをお勧めしました。
(エントランス内部の写真は近日中にアップします)




住まいの機能と、暮らし心地を拡張する4層構成

■1F+2F の延べ床面積は27坪。と、そう聞くだけだと狭い印象を持たれるかも知れませんが、くらしごこちには開放感があるはずです。生活の局面に応じた4層のスペースを設けています。
まずは上記、エントランスであり、クルマも駐められる、汎用的、土間的スペース。
1Fはバス、バニティ、トイレの水回りと13帖のベッドルーム。大容量可動クローゼットで間仕切ることで容易に2個室にできます。丘陵なので1F ながら眺望良好。
プライベートスペースではありますが (傾斜地ゆえに) カーテン無しでもプライバシーを確保でき、掃きだし──レイルがフロアと同レベル──サッシを採用、開口を広く取りました。
明るい開放階段を上がった2F は19帖の LDK。
サッシ、開口は1F同様広いものの 軒のあるインナーウッドバルコニーと腰壁によって、あえてパノラマウインドウ的に、眺望をフレーミングしています。眺望が良いから大きく切り取るというのは短絡です。この例の方が、住まいに守られている感があり、眺望もピクチャーフレーム的に締まり、落ち着き、居心地が上質になります。
そしてルーフバルコニー。傾斜地ゆえに、空に身を投げ出すような開放感があります。 SUMiZ の設計方針のひとつは、住まいと屋外を分かたず、連続させることですが、ルーフバルコニーは屋内屋外(屋内自然)の最たるものです。
DSC_8842.JPG
DSC_9610.JPG
SPEC= ■建蔽率/容積率:40/80 ■敷地面積:125.04㎡ ■構造:木造在来軸組工法一部RC造2階建て ■建築面積:46.36㎡ ■延床面積:110.58㎡

spacer_10pix.gif