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spacer_06pix.gifSUMiZ 森戸 スープが冷めない二世代住宅…………… 同居と別居の良さを両立、暖かい住まい

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当然のことながら、
住まいの設計(ハード)は、
ご家族の幸福(ソフト)を左右する。



■ご主人は、両親が、20余年前に千葉県市川市に建てられた実家に同居しており、結婚後もご夫婦で同居された。
当時は祖母もご健在で、2世代どころか3世代同居だったが、RC造のその家は玄関もキッチンもバスもひとつ。

3人の女性がひとつのキッチン、それぞれ好みの調味料や段取りがあるのに。さらにその家は、ステップフロアという段差の多い設計で、高齢の祖母にはもちろん、臨月の奥様の身にもこたえた。

数年前、一千万以上の予算で、2世代住宅にリフォーム。とはいえそれは、この家を手放すためだった。
葉山に住み替えようと思っていた。ご主人の姉が葉山に住んでおられ、しばしば訪れていた。
市川のそのあたりは高齢化が進み、子供たちの声が聞こえなかった。葉山は意外に子供が多い。自然環境はもちろんだが、同年代の子供がたくさんいる場所で、娘を育てたいと思った。

古いRCの家を取り壊して更地で売るより、リフォーム費を掛けてでも住宅込みのほうが得策であろう。
ご主人は不動産業界で働くプロである。できればすぐにでも葉山に移りたいが、高く売れるタイミングをうかがった。
それは簡単な仕事ではなかった。葉山森戸あたりは湘南でも一番人気で、海に近いエリアはとても手が出ず、なんとか可能かな、と思える価格帯ではどんどん海が遠ざかってしまい、葉山に移る意味が薄れてしまう。予算は潤沢とはいえない。土地に予算を取られ、住宅がプアになってしまっては本末転倒である。

活躍したのは、プロのご主人ではなく、奥様だった。
情報誌やネットであたりをつけ、現地踏査を重ね、ほどなく森戸に、ある理由で比較的安価に売りに出ている宅地を見つけたのだ。条件からすれば理想といってもよかった(その後建てたSUMiZのルーフバルコニーからは、海が、江ノ島、富士山が見えた!)

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提案力のないハウスメーカーに、
半生を委ねる住まいを任せて、
後悔しないですむだろうか……
■宅地が見つかったはいいが、それからが大変だった。想定より早い展開、急ぎ市川を売却し、森戸の住まいを建てる業者を探し、そのアウトラインを考え、お母様のコンセンサスを得……、しかしご主人は仕事で、奥様は子育てで忙殺、
しかし奥様、タダモノではない。ご家族の一代プロジェクトを今日の成功に導いた。住まいの計画は当初、ご主人の関係の、あるハウスメーカーに相談していたが、提案力がないため、自ら細かいところまで具体的なプランを用意せねばならず、そういう、いわば素人考えで、
今後の半生をゆだねる住まいを作って後悔しないですむのかという不安が拭えなかった。
ネットでSUMiZにたどりつき、諸我アーキテクトの「問診」を受け、プランをプレゼンしてもらったところ、なるほどと膝を打ち、眼からウロコ、契約した。

つかず、はなれず、
別居と同居の良さを両立。
3世代、より仲良く


■延べ床57.6坪の2世帯住宅。L型平面の、ひとつの建物だが、いわば南棟と北棟に分かれ、南にお母様と彼女の姉、北にご夫婦と幼い長女が住まう。縦分割の2世代住宅である。1F、2Fと「層」で分かつと、世代間の生活時間は異なるもので、お子さまが走る音などが気になったりする。
縦分割の場合、より独立性が高まり、このケースの場合、開口部の配置や、遮音性にも優れる高密度のグラスウール断熱材を使うなど、
よりプライバシーを高めている。
3階建てで、両棟もちろん専用玄関、キッチン、バスルームを持ち、北棟1Fはガレージ(多目的スペース)で、ルーフは全面バルコニー。相模湾、江ノ島、富士山が見渡せる。
両棟は内部で、2Fが1枚のドアでつながっている。完全な2世代設計ながら、同居の暖かさも有している。北棟とドアでつながるお母様のLDKは19.5畳。親孝行というか、説得のためというか、床暖房、それも皇居に採用されているものを奢っている。夜間電力で暖め、蓄熱、生活時間は原則通電しないため、電気代は従来品のおおむね半額。たとえば陽が差して暖かい場所はオフ、テーブルの下の冷えた場所はオンなど自動制御する。
じつはご主人の系列会社の商品(ミサト愉快暖楽)、SUMiZでも採用を検討している。
このリビングは、広いダイニングテーブルもあり、2世代の団らんの場ともなっている。
4歳の娘さん、奥様によれば、「やや厳しく」育てている。
ときおり彼女は「バーバ」のリビングに逃げ、笑顔で帰ってくる。
住まいのハードウエアは、ご家族の幸福を左右する。
市川で、一つ屋根の下で同居していたときは、無理もない、重い空気になることもあったが、「スープが冷めない」2世代住宅での日々を重ねるうち、森戸の環境も手伝って、日々ご家族の関係は好転しているらしい。

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とにかく時間がなく、
注文ばかりしたけれど、
さすが、豪腕・諸我アーキテクト


■住まいの設計上、失敗、あるいは後悔している点はありますか、と奥様に聞いてみた。しばらく考え、とくにないと。寒かったこの冬も、暖房はあまり必要でなかったし、
地震の時も(3月11日、湘南地域でも震度5強を記録)娘と慌ててテーブルの下に隠れたけど、棚の上の軽いモノがひとつふたつ落ちただけで、家はミシリとも鳴かなかったですよ。
「後悔があるとすれば、計画時、諸我先生ともっとじっくり相談すればよかったなと。でも、そうしてても、同じだったんじゃないかと。先生が、短い時間でおとしまえをつけてくれた(笑)」
──あと30年もすれば、ご夫婦おふたりだけになる可能性もありますよね、こんな広い家に。
「2階のドアを埋めればセパレートになるので、貸すこともできるし……、でも正直そんな先まで考えていませんね。娘を育てて送り出し、母を見送り……。

その日まで、それからも、この家で、平穏に、一生懸命暮らしてゆくだけです。

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SPEC= ■建蔽率/容積率:--/-- ■敷地面積:──㎡ ■構造:木造在来軸組工法3階建て ■建築面積:──㎡ ■延床面積:──㎡

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