●森と眺望という恵まれた環境を3倍享受するフロア構成検討(右コラム参照)
■披露山のふところ、原生の雑木林が豊かで、通過交通もなく、野鳥のさえずりをひきたてる静けさ……。逗子市内にあって、「下界」からある種隔絶された、「森の生活」を実現できる。
この物件の最大の魅力、立地環境を活かすこと、がデザインの主題でした。
堅牢で、壁量や工数を抑えられる──無駄なコストがかかりにくい──キューブ躯体とし、それぞれの生活シーンを引き立てる、3つの空間機能を考えました。
それらは、1F、2F、RFのフロアレベルとシンクロしています。
主題である環境──森──との関係でいいますと、1Fは森の中にいるようなアイレベル。居室から連続するウッドデッキを設けました。
森の中にいるような静謐は、気持ちを落ち着け、なにかに集中すること、を助けます。たとえば深く眠る。意外に、知的作業にも向きます。だから1Fは、寝室や書斎利用を想定したプライヴェートスペースとしました。
2Fは、ご家族がもっとも長い時間をお過ごしになるでしょう"Family Dining"。テーマは「安らぎ」ですが、はっとするような |
●CGによる環境親和性検討 ●空間効率に優れ、強度やメンテ性を高めやすい "cube" 躯体
非日常性をももたらすように。
東南西、3面にわたるパノラマウインドウを設け、日々変わる陽ざしと緑を、ある種劇場的にとりいれました。
リビングに立つと視線は梢の高さ、窓外が森で埋まり、座ると梢のうえに空がひろがります。
ペアガラスサッシュはアルミ枠ですが、全閉全開すると、アルミ枠が木の構造材に隠れ、木製サッシュのフィックスにみえるよう設計しています。
RFは全面ルーフデッキ、雑木林を越えて逗子市街、三浦の山稜、南側には手が届きそうな披露山の森、振り返れば丹沢のむこうに富士。
テーマは「開放」、洗濯物や布団を干すことが、家事ではなく歓びになるようなオープンエアリビングです。水場を設けるなど、より「使える」ように。
このグリーンハウス、ルーフデッキを除く延べ床面積は110㎡ですが、1LDK。 |
 ●3面連続するパノラマウインドウが、立地環境の魅力を増幅する
しかしフレキシブルで、大収納可動家具によりパーティションをつくることで、1Fを2部屋に、2Fに個室を追加し、かんたんに2LDK、3LDKにできます。
ご来客が泊まることになっても、受験期になったお子さまが個室を必要としても、フレキシブルに対応し、与えられた有限の空間を、それ以上に活かします。
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RF
……空の高さ(開放、娯楽)
■ルーフリビングのアイレベルは空。逗子市街を見下ろし、その向こうに三浦の山稜が幾重にも広がる

2F
……梢の高さ(寛ぎ、和み)
■アイレベルは森の梢。食、団らん、寛ぎのスペースながら、パノラマウインドウは、生活に、劇場的な非日常性を

GF
……森の高さ(瞑想、創造的作業)
■森の中にいるような静謐。サニタリーとバス、プライベートスペース。熟睡できる寝室、集中できる書斎に |